7日に訪韓した岸田文雄首相は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領との共同記者会見で、両国間の最大の懸案となってきたいわゆる徴用工訴訟問題を念頭に「当時厳しい環境のもとで多数の方々が苦しい、悲しい思いをされたことに心が痛む思いだ」と述べた。歴代政権の立場を踏襲するとした3月の前回会談から一歩踏み込んだ発言となったが、韓国世論はより具体的な言及を求めており、反発の声も上がりそうだ。岸田首相は、今回の発言が徴用工問題の当事者に向けたものかを韓国人記者に問われ、歴代政権の立場とは別個に「私自身の心情を伝えたものだ」と答えた。尹氏はこれに対し、敗訴した日本企業の賠償金を韓国政府傘下の財団が支払うとする韓国政府の解決策について「方針は変わらない」と強調。「歴史認識問題は真心が大切であり、片方がもう一方に(謝罪を)要求するものではない」とも述べ、日本側に追加の謝罪を求めない意向を改めて示した。韓国側は3月上旬の解決策発表後、支払い措置を速やかに進めた。韓国外務省は4月中旬、勝訴が確定した15人のうち10人の遺族に対する支給が完了したと発表。生存者の3人と遺族2人は受け取りを拒否する姿勢を示していたが、韓国政府側の関係者によると、生存者の女性原告1人が解決策を受け入れる意向を新たに示しているという。当事者の大部分が韓国政府の解決策に応じる形となったにもかかわらず、韓国では今回の会談を控え「岸田首相は今回も韓国の世論を無視して歴史問題に『沈黙』するのか」(革新系のハンギョレ紙)などと、日本の対応を「不十分」とする声が大勢を占めた。来年4月に総選挙を控え、野党側は政府との対決姿勢を強めている。岸田首相は8日に最大野党「共に民主党」議員を含む韓日議連幹部と面会するが、同党の李在明(イ・ジェミョン)代表は7日、「対日屈従外交を正す最後の機会」だとフェイスブックに投稿した。
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